Japanese
English
解説
肺胞マクロファージ
Pulmonary alveolar macrophage
安岡 劭
1
,
大串 文隆
1
,
土居 裕幸
1
Susumu Yasuoka
1
,
Fumitaka Ogushi
1
,
Hiroyuki Doi
1
1徳島大学医学部第3内科
13rd Dept. of Int. Med., Tokushima Univ.
pp.373-380
発行日 1983年4月15日
Published Date 1983/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204206
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I.肺胞マクロファージ(Pulmonary alveolar macrophage,以下AM)のあらまし
1.起原と運命1〜5)
末梢肺,肺胞腔に直径20〜40μmの多形性の大単核細胞が局在し,肺胞マクロファージ(AM)と呼ばれる。この細胞は網内系に属する貪食細胞で,大部分は骨髄由来の単球が分化したもので,AMへの分化は肺胞間質で数日以上かかって完成する。AMの一部はある種の病態では肺胞局所で産生され,その起源は肺胞上皮細胞や肺胞間質細胞と考えられている。AMは正常者の肺胞腔にも常在している。近年導入された気管支—肺胞洗浄法(BAL)により末梢肺成分が採取できるようになった。表15〜6)に正常者の気管支—肺胞洗浄液(BALF)に含まれる細胞成分と液性成分を示した。AMはBALF細胞の85〜90%を占め,1肺区域から107個のAMが採取される。AMの生存期間は1〜5週で,短いものが7〜8日,長いもので29〜35日であり,この点からもsub—populationの存在が考えられる。
多くの異物がAMを増加させるが,その物理化学的性状がAMの増加率を規定する。AMの肺胞への遊走機序は不明であるが,Kilburn2)はAM遊走因子の介在を考えている。肺胞腔内のAMが異物刺激により遊走因子を放出し,これが肺胞上皮細胞や基底板を通過し毛細血管に到達する。この因子の濃度勾配が肺胞へのAMの遊走を左右するという考えである。
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