生体のメカニズム・4
マクロファージの役割
高須賀 直美
1
,
赤川 清子
1
1国立予防衛生研究所細胞免疫部
pp.382-384
発行日 1991年4月1日
Published Date 1991/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543900584
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はじめに
「造血幹細胞由来の貪食能と運動性を持つ粘着性の単核細胞」というのが,マクロファージの定義とされている1).マクロファージは生体のあらゆる組織に広く存在しており,それらは単球(血液中),クッパー細胞(肝),ミクログリア(脳),腹腔マクロファージ(腹腔),肺胞マクロファージ(肺),破骨細胞(骨)などと呼びかたが異なることからもわかるように,ひと口に「マクロファージ」といっても,得られる組織により,形態はおろかその機能までも異なっている.それゆえ,マクロファージの生体における役割も,感染抵抗性,抗癌など生体防御にかかわるものから脂質代謝,骨代謝,組織修復など恒常性の維持にかかわるものまで多岐にわたっている(図1).ここではマクロファージの主な機能を簡単に説明し,それが生体にとってどのような意味を持つものなのかを概観したい.
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