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特集 感染症薬の動態と耐性菌研究を基盤とした個別化医療の展望
9.ダプトマイシンによる治療と個別化医療
Daptomycin therapy
東祥嗣
1
,
山本善裕
2
Higashi Yoshitsugu
1
,
Yamamoto Yoshihiro
2
1富山大学大学院医学薬学研究部感染予防医学講座 助教
2富山大学大学院医学薬学研究部感染予防医学講座 教授
キーワード:
ダプトマイシン
,
バイオフィルム
,
高用量
,
耐性化
Keyword:
ダプトマイシン
,
バイオフィルム
,
高用量
,
耐性化
pp.93-99
発行日 2017年3月25日
Published Date 2017/3/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201704093
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ダプトマイシン(DAP)は13個のアミノ酸から構成された環状ポリペプチド系抗菌薬であり,強い殺菌作用を示す。加えてバイオフォルム形成に対し有効性をもち,現在,MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)菌血症や,骨軟部組織感染において頻用されている。一方で,髄膜炎や肺疾患には不適であり,横紋筋融解症や好酸球性肺炎など特徴的な有害事象も報告されている。DAP耐性MRSAの報告も散見され,今後は耐性化が懸念される。新規抗MRSA薬のため現時点では十分な使用経験とは言えず,人工物留置症例や血流障害,骨軟部組織感染など個々の症例においてさらなるデータの蓄積が進み,個別化医療が進展することが望まれる。