特集 “実践的”抗菌薬の使い方―その本質を理解する
各論:薬剤同士の“違い=個別性”を理解して実践的な使い分けを習得する
リネゾリドとダプトマイシン
笠原 敬
1
1奈良県立医科大学感染症センター
pp.1246-1249
発行日 2013年7月10日
Published Date 2013/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106897
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ポイント
◎MRSAによる皮膚軟部組織感染症,敗血症・心内膜炎,骨・関節感染症に対してダプトマイシンはバンコマイシン(VCM)とならんで第1選択薬と考えてよい.
◎MRSAによる皮膚軟部組織感染症,骨・関節感染症,肺炎,髄膜炎に対してリネゾリドはVCMとならんで第1選択薬と考えてよい.
◎そのうえで,VCMはその有効性や副作用に関するエビデンスの豊富さ,血中濃度測定・シミュレーションが可能であることなどから,依然として最も推奨される薬剤である.
◎VCMのMIC 2μg/mLのMRSA感染症に対して,リネゾリドやダプトマイシンがVCMよりも有効性が高いという確実なエビデンスはない.
◎ダプトマイシンはMRSA肺炎に使用してはならない.MRSA髄膜炎に対するエビデンスもない.副作用としてCPK上昇や好酸球性肺炎に注意する.
◎リネゾリドはMRSA敗血症・心内膜炎に第1選択とはならない.副作用として血球減少やSSRI内服患者ではセロトニン症候群に注意する.
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