トピックス
ダプトマイシン
小林 芳夫
1
1慶應義塾大学医学部臨床検査医学
pp.661-662
発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103598
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
開発の経緯
本稿では,関係各社の社内資料そのほかにより知り得た抗菌薬ダプトマイシン(daptomycin)の開発の経緯を紹介する.
ダプトマイシンは米国Eli Lilly社(以下,Lilly社)によって発見され,米国Cubist社により開発された新規環状リボペプチド系抗菌薬であり,グラム陽性菌に抗菌活性を示す.本剤は,他のいずれの抗菌薬とも異なる作用機序を有し,細胞膜に結合して膜電位の脱分極を引き起こし,蛋白質,DNAおよびRNAの合成を速やかに阻害することにより細胞融解を引き起こすことなく細菌を死滅させる.本剤は,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus,MRSA),メチシリン耐性表皮ブドウ球菌(methicillin-resistant S.epidemidis,MRSE),バンコマイシン耐性腸球菌(vancomycin-resistant Enterococcus,VRE),グリコペプチド中等度耐性黄色ブドウ球菌(glycopeptide intermediate S. aureus, GISA),バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(vancomycin-resistant S.aureus,VRSA)およびコアグラーゼ陰性ブドウ球菌などの薬剤耐性菌を含む,臨床的に重要な種々のグラム陽性菌に対して速やかな殺菌作用を有している.
Copyright © 2012, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.