Japanese
English
特集 国境を越える重症新興・再興感染症
5.チクングニア熱の流行域の拡大
Epidemiology and global expansion of chikungunya virus
林昌宏
1
Lim Chang-Kweng
1
1国立感染症研究所ウイルス第一部第三室 室長
キーワード:
チクングニア熱
,
チクングニアウイルス
,
ネッタイシマカ
,
ヒトスジシマカ
,
関節痛
,
母子感染
,
髄膜脳炎
,
脳症
Keyword:
チクングニア熱
,
チクングニアウイルス
,
ネッタイシマカ
,
ヒトスジシマカ
,
関節痛
,
母子感染
,
髄膜脳炎
,
脳症
pp.52-58
発行日 2015年5月25日
Published Date 2015/5/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201506052
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チクングニア(CHIK)熱は1952年にはじめて確認されて以来,アフリカおよびアジアの熱帯・亜熱帯地域で散発していたが,近年,急速にその流行域を拡大し,2007年には温帯地域ではじめての国内流行がイタリアで報告された。さらに2014年には,カリブ海諸国,米国,メキシコ,ブラジルを含むアメリカの熱帯・亜熱帯地域にその流行域を拡大した。近年のレユニオン島およびインドでのチクングニアウイルス(CHIKV)感染症の特徴は,分娩時の母子感染の報告と,特に乳幼児および高齢者における,髄膜脳炎,脳症等の重篤な症状と死亡例の報告である。CHIK熱は「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律」で四類感染症に指定されており,当該患者を診断した医師はただちに保健所を経由して都道府県知事に届け出ることが求められる。