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特集 気候変動と医療
わが国における気候変動と感染症媒介蚊
Global warming and mosquito vectors that transmit infectious diseases in Japan
葛西 真治
1
Shinji KASAI
1
1国立感染症研究所昆虫医科学部
キーワード:
デング熱
,
ネッタイシマカ
,
ヒトスジシマカ
,
感染症
,
温暖化
Keyword:
デング熱
,
ネッタイシマカ
,
ヒトスジシマカ
,
感染症
,
温暖化
pp.217-222
発行日 2024年7月20日
Published Date 2024/7/20
DOI https://doi.org/10.32118/ayu290030217
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近年,世界各地の熱帯地域で蚊媒介感染症であるデング熱が流行傾向にある.気候変動による媒介蚊の分布域拡大はいくつか挙げられる重要なファクターのうちのひとつと考えられる.国土の大半が温帯に属する日本においてもデング熱の問題は対岸の火事ではない.コロナ禍後の国際交流の活発化とともにデングウイルスをはじめとして蚊媒介感染症の病原ウイルスが国内に持ち込まれるリスクは高まっている.それに加えて温暖化により媒介蚊ヒトスジシマカの活動期間は長くなり,分布可能なエリアも拡大している.一方,日本に分布しないネッタイシマカが航空機に紛れて持ち込まれ,頻繁に空港内で捕獲されるようになっている.ネッタイシマカが越冬可能なエリアも温暖化とともに北上し,侵入後に次世代を残し,定着するリスクが高まっている.デング熱に限らず,気候変動により蚊やその他の節足動物によって媒介される感染症の発生リスクは年々高まっている.
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