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特集 わが国でも問題のベクター媒介性感染症
2.チクングニア熱の世界的流行にかかわるウイルスの突然変異と媒介蚊
Impact of a mutation of chikungunya virus on susceptibility of vector mosquitoes, relevant to the worldwide epidemics of chikungunya fever
石川知弘
1
,
小西英二
2
Ishikawa Tomohiro
1
,
Konishi Eiji
2
1獨協医科大学医学部微生物学講座 助教
2BIKEN Endowed Department of Dengue Vaccine Development, Faculty of Tropical Medicine, Mahidol University/大阪大学微生物病研究所デングワクチン(阪大微生物病研究会)寄附研究部門 教授
キーワード:
チクングニアウイルス
,
チクングニア熱
,
ヒトスジシマカ
Keyword:
チクングニアウイルス
,
チクングニア熱
,
ヒトスジシマカ
pp.32-38
発行日 2014年1月25日
Published Date 2014/1/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201402032
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チクングニア熱は2005~2006年にかけてインド洋の島国およびインドやスリランカなどで170万人を超える規模の流行を起こし注目されるようになった。特にレユニオン島では全島民の1/3に当たる26万人以上が感染し,254名が死亡した。さらに2007年以降,流行国からの帰国者に起因すると考えられる国内伝播が温帯地域であるイタリアやフランスで起こった。多くの場合,媒介蚊はネッタイシマカではなく,世界的に広く分布するヒトスジシマカであった。また,大流行の原因となったチクングニアウイルスは表面のタンパクにひとつのアミノ酸変異が生じたためヒトスジシマカにおける増殖が約100倍に進化したものであった。本稿では,これらの流行にかかわるウイルス突然変異と媒介蚊について概説した。