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特集 国境を越える重症新興・再興感染症
6.多剤耐性菌感染症の世界的広がり
Global spread of antimicrobial resistance
柴山恵吾
1
Shibayama Keigo
1
1国立感染症研究所細菌第二部 部長
キーワード:
薬剤耐性菌
,
サーベイランス
,
院内感染
,
JANIS
Keyword:
薬剤耐性菌
,
サーベイランス
,
院内感染
,
JANIS
pp.59-64
発行日 2015年5月25日
Published Date 2015/5/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201506059
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近年,世界中でさまざまな薬剤耐性菌が出現し,国境を越えて拡散している。現在では臨床でよく使われるほとんどの抗菌薬に耐性を示す菌が出現している。わが国では,国の薬剤耐性菌のサーベイランスとしてJANIS(Japan Nosocomial Infection Surveillance)があり,薬剤耐性菌の分離状況等を調査し,集計結果を公開している。わが国においては,肺炎球菌など市中感染症を起こす菌種においてマクロライド系薬剤の耐性率が高く,一方で,アシネトバクターなど院内感染を起こす菌種においてはカルバペネム系薬剤の耐性が低いという特徴がある。薬剤耐性菌を増やさないために,社会全体で必要な対策を適切に実施していくことが重要である。WHOは薬剤耐性菌対策を各国が取り組むべき国際的な重要課題と位置づけ,2015年にGlobal Action Planを策定している。わが国においても,このPlanに沿ってNational Action Planを策定し,実行していくことが求められる。それとともに,耐性菌対策が十分でない途上国等への支援をグローバルな視点で行うことも重要である。