Japanese
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特集 C型ウイルス肝炎の治療における最近の進歩
10.移植後C型肝炎の治療
Management of recurrent hepatitis C following liver transplantation
田中智大
1
,
菅原寧彦
2
,
國土典宏
3
Tanaka Tomohiro
1
,
Sugawara Yasuhiko
2
,
Kokudo Norihiro
3
1東京大学医学部附属病院臓器移植医療部 助教
2東京大学医学部附属病院人工臓器・移植外科 准教授
3東京大学医学部附属病院人工臓器・移植外科 教授
キーワード:
肝移植
,
再発
,
DAA
,
IGD
Keyword:
肝移植
,
再発
,
DAA
,
IGD
pp.94-100
発行日 2015年3月25日
Published Date 2015/3/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201504094
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肝移植後のC型肝炎再発はグラフトロスや死亡の直接的な原因となる。無治療の場合,肝炎・線維化の進行の速度は非移植例に比してきわめて速く,最大30~40%のレシピエントが移植後5年以内に肝硬変に至る。病勢に関してはレシピエント・ドナーおよびウイルス側のさまざまなリスク因子が報告されているが,肝移植後の症例においては,基本的に全例に免疫抑制剤が使用されていることから,肝移植手術の侵襲にともなう全身状態の低下から改善するまでに時間を要する。肝移植後C型肝炎の治療法としては,2013年まではペグインターフェロン+リバビリン2剤併用療法が主流だったが,SVR(sustained virological response)率は最大で40%程度に過ぎなかった。副作用も多く,インターフェロンが免疫系に与える影響により引き起こされるinterferon-induced graft dysfunction(IGD)という病態も報告された。しかし,direct acting antivirals(DAAs)の登場により,肝移植後C型肝炎の治療方針や考え方は劇的に変化してきている。本稿では,肝移植後C型肝炎再発という特異な臨床像について概説するとともに,DAAsの発売前後の抗ウイルス療法について述べる。