Japanese
English
臨床経験
ガス産生菌感染による腸腰筋膿瘍の1例
A Case of Gas-producing Iliopsoas Abscess
加藤 宏
1
,
片山 裕視
1
,
松崎 英剛
1
,
水上 慎一
1
,
大友 康裕
1
,
辺見 弘
1
,
杉浦 知史
2
,
松本 不二生
2
,
小林 陽二
2
Hirosi Katou
1
1国立病院東京災害医療センター救命救急センター
2国立病院整形外科
1Critical Care Medical Center, National Hospital Tokyo Disaster Medical Center
キーワード:
iliopsoas abscess
,
腸腰筋膿瘍
,
non-clostridial gas gangrene
,
非クロストリジウム性ガス壊疽
,
sepsis
,
敗血症
Keyword:
iliopsoas abscess
,
腸腰筋膿瘍
,
non-clostridial gas gangrene
,
非クロストリジウム性ガス壊疽
,
sepsis
,
敗血症
pp.883-885
発行日 1996年7月25日
Published Date 1996/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408901960
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抄録:腸腰筋膿瘍は近年では稀な疾患となっている.今回,大量のガス産生のみられた難治性の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告した.症例は60歳男性で,高熱と左鼠径部痛にて入院となった.臨床症状と画像所見から敗血症を伴ったガス産生菌感染による腸腰筋膿瘍と診断し,直ちに抗生物質投与と外科的排膿処置を行ったが,寛解・増悪を繰り返し,感染を鎮静化させるまでに長期の治療期間を要した。血液と膿培養では黄色ブドウ球菌のみが検出されたが,同菌はガスを産生しないため,ガス産生菌との混合感染による非クロストリジウム性ガス壊疽と考えられた.本症は臨床症状と画像所見から容易に診断可能であるが,本例のように治療が遅れると重症化することがあるため,股関節周辺部の化膿性炎症疾患の1つとして常に念頭におく必要がある。
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