Japanese
English
特集 化学療法剤のPK-PD理論 -応用と限界-
2.抗菌薬のタンパク結合率とTDMにおける注意点
Consideration of protein binding of antibiotics in therapeutic drug monitoring
木村利美
1
Kimura Toshimi
1
1東京女子医科大学病院 薬剤部長
キーワード:
タンパク結合
,
抗菌薬
,
Therapeutic drug monitoring(TDM)
,
遊離形分率
Keyword:
タンパク結合
,
抗菌薬
,
Therapeutic drug monitoring(TDM)
,
遊離形分率
pp.34-41
発行日 2013年10月25日
Published Date 2013/10/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201311034
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抗菌薬が有効性を発揮するためにはタンパクに結合していない遊離形でなければならない。特に感染組織における遊離形濃度を測定することが重要であり,マイクロダイアライシス法などが用いられることもあるが,日常臨床での測定は困難を要する。一般には血中総薬物濃度や血中遊離形薬物濃度が有効性等の評価に用いられる。生体内における抗菌薬の有効性に関してMIC(最小発育阻止濃度)等を基準に評価する際には血中遊離形薬物濃度を考慮することが望ましいと考えられる。TDM(therapeutic drug monitoring:治療薬物モニタリング)を実施し血中総薬物濃度が測定されている場合,データの解釈には十分な注意が必要である。一般的に,タンパク結合の競合による薬物の追い出しや,低アルブミン血症にともない薬物の遊離形分率が上昇すると,生体内においては血中総薬物濃度が低下するが血中遊離型薬物濃度は一定に保たれているためである。