今月の主題 感染症—治療の実際
抗生物質の基礎知識
蛋白結合率
深谷 一太
1
Kazufuto FUKAYA
1
1東芝林間病院・内科
pp.1482-1483
発行日 1980年10月10日
Published Date 1980/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402216696
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はじめに
すべての薬物は血中・組織中で,それぞれ血清・組織蛋白とくにアルブミンとある割合で結合して存在し,一部は赤血球に吸着していることが知られている.抗生物質も同様であり,遊離型と結合型はある比率を保って平衡状態となっており,血中からの遊離型の消失とともに,結合が離れて次第に遊離状態となると考えられている.
各抗生物質について,蛋白結合率は一定の数値として表わすことができるが,結合率の測定方法の相違により得られる数値が異なり,また同一方法でも,薬物濃度や用いる血清の動物種によっても異なる.さらに病態下の患者から得られた血清は,健康者血清と同じ値を示さないことがあるなど,きわめて多くの条件の制約をうけている.
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