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細胞はすべて固有の動的な形態を持ち,なかには運動するものもある。このような細胞の形態維持や運動の際の骨組みとなるのが,細胞骨格と呼ばれるタンパク質複合体である。細胞骨格は太さにより3種類に分類され,細いものからマイクロフィラメント,中間系フィラメント,そして最も太いものが微小管である。微小管は直径25nmの中空な管状線維であるが,αおよびβチューブリンから成るヘテロダイマーを基本単位として,それが長軸方向に連なってプロトフィラメントと呼ばれる細線維構造体を形成し,それが10-15本程度,螺旋状に結合することで管状の構造が形づくられている1)。長軸方向に交互に位置するα,βチューブリンの特性の違いにより微小管は方向性を有し,βチューブリンが露出する端はαβチューブリンヘテロダイマーが付加(重合)したり解離(脱重合)する速度が速くプラス端と呼ばれるのに対し,反対端は逆の性質を持ちマイナス端と呼ばれる1)。
微小管は極めて動的な細胞骨格で,常に重合と脱重合を繰り返すことにより細胞形態の維持や変化を担い運動を制御するのみならず,細胞分裂や細胞内物質輸送においても極めて重要な役割を果たす。この微小管の重合と脱重合のバランスは多種多様なタンパク質により制御されており,なかでも微小管に直接結合するタンパク質群は微小管結合タンパク質(microtubule associated proteins;MAPs)と呼ばれる1)。MAPsは微小管への結合特性などから幾つかのグループに分類され,代表的なものは古典的(構造的)MAPs,分子モーター,プラス端結合タンパク質(+TIPs),マイナス端結合タンパク質(-TIPs)の4種類である(図1)。本稿ではこれらについて,筆者らの最近の成果を中心に概説したい。
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