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連載 私達の研究(121)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症における菌側病原因子と好中球機能障害の機序
The mechanism of impaired neutrophil functions by virulence factors of isolates in severe invasive group A Streptococcus infections
阿戸学
1
,
松村隆之
2
,
池辺忠義
3
Ato Manabu
1
,
Matsumura Takayuki
2
,
Ikebe Tadayoshi
3
1国立感染症研究所免疫部第二室 室長
2国立感染症研究所免疫部第二室 研究員
3国立感染症研究所細菌第一部 主任研究官
キーワード:
劇症型溶血性レンサ球菌感染症,病原因子,好中球
Keyword:
劇症型溶血性レンサ球菌感染症,病原因子,好中球
pp.108-115
発行日 2013年3月25日
Published Date 2013/3/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201304108
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症(streptococcal toxic shock syndrome)は一旦発病すると急速に進行し,ショック症状,多臓器不全などをともなう致死率の高い重篤な感染症である。集団発生がきわめてまれで,高齢男性や生活習慣病などの危険因子があり,感染部位に炎症細胞浸潤が乏しいという特徴から,劇症型感染起因菌であるStreptococcus pyogenesが宿主防御を障害することが示唆されているが,その詳細な機序は不明であった。我々は20年余りにわたり,衛生微生物技術協議会溶血性レンサ球菌レファレンスシステムセンターと共同して,わが国で発生した劇症型レンサ球菌感染症の臨床分離株を収集し,細菌遺伝学的,および主要な防御担当細胞であるヒト好中球と感染マウスモデルを用いた病態解析を行った。感染起因レンサ球菌の病原因子と,好中球の防御能修飾をもたらす劇症型感染の病態に関する知見を解説する。