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特集 細菌の病原遺伝子の発現調節機構
2.黄色ブドウ球菌の二成分制御系による病原性および薬剤耐性の調節
Regulation of virulence and antibiotic resistance via two-component systems in Staphylococcus aureus
松尾美樹
1
,
小松澤均
2
Matsuo Miki
1
,
Komatsuzawa Hitoshi
2
1鹿児島大学大学院・医歯学総合研究科・口腔微生物学分野 助教
2鹿児島大学大学院・医歯学総合研究科・口腔微生物学分野 教授
キーワード:
黄色ブドウ球菌
,
二成分制御系
Keyword:
黄色ブドウ球菌
,
二成分制御系
pp.33-41
発行日 2012年12月25日
Published Date 2012/12/25
DOI https://doi.org/10.20837/2201301033
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黄色ブドウ球菌はヒトに常在する細菌であるが,ときとして,化膿性疾患,腸炎,肺炎など種々の疾患を引き起こすことが知られている。また,本菌は種々の抗菌薬に対し耐性を獲得しており,特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)は院内感染菌として日々臨床上,問題となっている。これまでに黄色ブドウ球菌の病原性や薬剤耐性に関与する研究が多くなされてきている。近年,細菌特有の情報伝達系であり,環境応答に関与する二成分制御系(two-component regulatory system:TCS)因子が注目を集めるようになり,黄色ブドウ球菌についてもTCSによる病原性・抗菌薬耐性発現調節について多くの報告がなされている。本稿では黄色ブドウ球菌のTCSを中心に,黄色ブドウ球菌のTCS,TCSによる病原性発現機序,薬剤耐性機序の3つの点について,私たちの教室(鹿児島大学大学院・医歯学総合研究科・口腔微生物学分野)で得られた知見を交えて総括し,ご紹介したい。