連載・副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈83〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座特任客員教授
キーワード:
● 認知症,肺炎,上部消化管出血,代謝誘導,潜在的に不適切な処方,代謝阻害
Keyword:
● 認知症,肺炎,上部消化管出血,代謝誘導,潜在的に不適切な処方,代謝阻害
pp.862-868
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201903862
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1.観察研究のメタアナリシスによると,高齢者ではベンゾジアゼピン系薬の使用,特に長期使用において,認知症のリスクが高かった。 2.台湾の医療情報データベースを用いた症例対照研究によると,統合失調症患者ではベンゾジアゼピン系薬,特にミダゾラム,ジアゼパム,ロラゼパムと肺炎リスクとの関連が認められた。 3.米国の医療情報データベースを用いたコホート研究によると,リバーロキサバン>ダビガトラン≒ワルファリン>アピキサバンの順で上部消化管出血による入院が多く,その入院はPPI(プロトンポンプ阻害薬)併用で減少した。 4.健康成人を対象とした試験によると,カルバマゼピンの併用により,フィンゴリモドおよび活性代謝物であるリン酸化体の血中濃度が低下した。 5.アイルランドの診療録データを用いた調査によると,高齢患者の約半数に潜在的に不適切な処方があり,入院前と比較して,退院後には潜在的に不適切な処方が増加していた。 6.抗てんかん薬と抗菌薬の相互作用に関する系統的レビューおよびメタアナリシスによると,マクロライド系の併用でカルバマゼピンの血中濃度は上昇し,さまざまな有害事象が発現していた。また,カルバペネム系の併用でバルプロ酸の血中濃度は低下し,発作コントロールが不十分となっていた。