連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(53)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● めまい,グルクロン酸抱合,高齢者,酵素誘導,血圧上昇,先天異常
Keyword:
● めまい,グルクロン酸抱合,高齢者,酵素誘導,血圧上昇,先天異常
pp.2152-2157
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201609158
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
〔今月の注目論文のポイント〕 1.深部静脈血栓症のためリバーロキサバンを投与された患者において,歩行困難を伴う重度のめまいを呈した症例が報告されている。 2.健康成人を対象とした試験において,アセトアミノフェンの併用によりラモトリギンの血漿中濃度が低下し,グルクロン酸転移酵素の誘導を介した相互作用が示唆されている。 3.スウェーデンの高齢者ケアに関する研究データを用いた検討において,高齢者に不適切な薬物使用のある患者では1年以内の入院および死亡のリスクが上昇することが報告されている。 4.カルバマゼピンを併用した患者において,パリペリドンおよびアムロジピンの血漿中濃度が顕著に低下し,精神症状に変化はなかったが,血圧上昇を認めた症例が報告されている。 5.既報のデータを用いた薬物動態/薬力学モデル解析において,アセトアミノフェン併用により,フェニレフリンの血漿中濃度が上昇し,血圧が顕著に上昇することが予測されている。 6.オランダの先天異常登録データ等を用いた検討において,特定の先天異常児の母親は他の先天異常児の母親より特定のP-糖タンパク質の基質,阻害薬あるいは誘導薬を妊娠中に服用していた割合が高かったことが報告されている。