連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く (40)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座
2東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座 教授
キーワード:
● 虚血性大腸炎,突然死,緩下作用,血管浮腫,CYP3A4
Keyword:
● 虚血性大腸炎,突然死,緩下作用,血管浮腫,CYP3A4
pp.152-157
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201507152
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.統合失調性感情障害のためクロザピンを投与された患者において,投与2.5カ月後に虚血性大腸炎を呈した症例が報告されている。 2.ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害薬またはARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)服用患者における症例対照研究において,アモキシシリン併用群と比較してST(スルファメトキサゾール・トリメトプリム)合剤併用群では突然死のリスクが高いことが報告されている。 3.結腸手術後の患者を対象とした後向き調査において,H2受容体拮抗薬またはプロトンポンプ阻害薬の併用により酸化マグネシウムの緩下作用が減弱する可能性が報告されている。 4.ロサルタンを服用中の患者において,ナプロキセンを頓用したところ口唇が腫れ,血管浮腫が疑われた症例が報告されている。
5.健康成人を対象とした試験において,アトルバスタチンの併用によりコルヒチンの血漿中濃度が上昇し,CYP(チトクロムP450)3A4またはP-糖タンパク質を介した相互作用の可能性が示唆されている。 6.移植後の免疫抑制療法でシクロスポリンを投与されていた患者において,アルガトロバンの併用によりシクロスポリンの血中濃度が顕著に低下した症例が報告されている。