連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈66〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 抗菌薬,アドヒアランス,プロトンポンプ阻害薬,薬物動態,注意欠陥・多動性障害,NOACs
Keyword:
● 抗菌薬,アドヒアランス,プロトンポンプ阻害薬,薬物動態,注意欠陥・多動性障害,NOACs
pp.2336-2342
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201710152
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.米国の単施設における後向き研究において,抗菌薬の全身投与を受けた入院患者の20%が有害事象を経験しており,そのほとんどが入院期間の延長や再入院,追加検査などを要したことが報告されている。
2.タモキシフェンの乳がん予防効果を検討した無作為化プラセボ対照比較試験において,5年間の投与期間中に悪心・嘔吐,婦人科症状を訴えた被験者ではアドヒアランスが低かったことが報告されている。
3.米国退役軍人局のデータベースを用いたコホート研究において,H2受容体拮抗薬が処方された患者と比較して,プロトンポンプ阻害薬が処方された患者では死亡率が高かったことが報告されている。
4.健康成人を対象とした試験において,高用量のメトホルミンの併用により,ロスバスタチンの血漿中濃度が軽度に上昇したことが報告されている。
5.香港の医療情報データベースを用いた研究において,妊娠中に抗うつ薬を使用していた母親からの出生児では注意欠陥・多動性障害のリスクが高かったが,母親の精神疾患の有無の影響の方が大きかったことが報告されている。
6.米国の医療情報データベースを用いた研究において,腎機能が非ビタミンK拮抗経口抗凝固薬(NOACs)の減量基準に該当するのに通常量で投与されていた患者が43.0%おり,これらの患者では大出血のリスクが高かったことが報告されている。