連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(58)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 肝障害,カルシウム補充療法,カペシタビン,腎障害,治療中断,上部消化管合併症
Keyword:
● 肝障害,カルシウム補充療法,カペシタビン,腎障害,治療中断,上部消化管合併症
pp.718-723
発行日 2017年2月1日
Published Date 2017/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201702158
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.心房細動のためアピキサバンを服用していた患者において,術後の再開時に肝機能検査値が顕著に上昇し,中止により回復した無症候性の肝障害を呈した症例が報告されている。 2.スウェーデンで高齢女性を対象に行われたコホート研究において,カルシウム補充療法を受けていた群では認知症,特に脳卒中関連認知症の発症リスクの上昇を認めたことが報告されている。 3.カナダの病院単施設で初期結腸直腸癌患者を対象に行われた後ろ向き研究において,カペシタビン治療中にプロトンポンプ阻害薬を併用した場合,無再発生存率が低かったことが報告されている。 4.心房細動などのためワルファリンを服用していた患者において,定期受診でINR(国際標準比)が顕著に上昇しており,血清クレアチニンの上昇など腎障害を認めた症例が報告されている。 5.米国の閉経後骨粗鬆患者を対象に行われたオンラインアンケート調査において,治療を中断した大きな理由の一つが副作用の経験であり,さらに治療再開への意思に影響していたことが報告されている。 6.イタリアの医療情報データベースを用いた症例対照研究において,低用量アスピリンとオメガ-3脂肪酸の併用により上部消化管合併症のリスク上昇は認められなかったことが報告されている。