連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く (42)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 教授
キーワード:
● 心筋梗塞,多発性関節炎,黒毛舌,CES1,CYP3A4
Keyword:
● 心筋梗塞,多発性関節炎,黒毛舌,CES1,CYP3A4
pp.2208-2213
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201509164
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
〔今月の注目論文のポイント〕 1.薬物間相互作用による入院等の報告のメタアナリシスにおいて,入院の1.1%,来院の0.1%は薬物間相互作用に起因していると推定されている。 2.鼻づまりのためオキシメタゾリン点鼻スプレーを使用した患者において,胸痛などを呈し,非ST上昇型心筋梗塞と診断された症例が報告されている。 3.糖尿病のためリラグルチドの投与を開始した患者において,手足や腰などに多発性関節炎を認め,中止により改善した症例が報告されている。 4.ヘリコバクター・ピロリ感染のためメトロニダゾールとランソプラゾールが投与された小児患者において,舌の黒変を呈した症例が報告されている。 5.健康成人を対象とした試験において,アルコールの併用によりオセルタミビルの活性代謝物への代謝が減少し,カルボキシルエステラーゼ1を介した相互作用の可能性が示唆されている。 6.診療録等の後向き調査において,ニカルジピンまたはアムロジピンの併用によりシクロスポリンの血中濃度が上昇し,チトクロムP450(CYP)3A4を介した相互作用が示唆されている。