連載 医薬品情報(DI)室より 注目の新薬情報〈37〉
エンタイビオ®点滴静注用300mg
遠原大地
1
,
齋藤秀之
2
1熊本大学病院薬剤部・医薬品情報室長
2熊本大学病院薬剤部・教授/薬剤部長
pp.686-689
発行日 2019年2月1日
Published Date 2019/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201902686
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製剤の特徴 「エンタイビオ®点滴静注用300mg」(以下,本剤)は,腸管選択的に免疫反応を調節する新しい作用機序を有する生物学的製剤で,中等症から重症の潰瘍性大腸炎またはクローン病に対する治療薬として,現在60カ国以上の国で承認を取得し,2018年5月時点で20万人/年以上の患者に使用されている。 本剤は,炎症を起こしている腸管組織に炎症性細胞の一種であるTリンパ球の遊走を阻害することで炎症を軽減する,腸管選択的なヒト化抗ヒトα4β7インテグリンモノクローナル抗体である。具体的には,ヒトリンパ球上のα4β7インテグリンと消化管粘膜に発現する粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)との接着に拮抗することで,炎症を起こした腸管組織へのTリンパ球の遊走を抑制し,消化管炎症を抑制する。 また,他のα4またはβ7インテグリンの二量体には結合せず,中枢神経や皮膚等の多くの臓器に発現する血管細胞接着分子-1(VCAM-1)との接着には拮抗しないことから,全身的な免疫抑制をきたすことなく腸管へ選択的に免疫調節作用を発揮する。