連載 医薬品情報(DI)室より 注目の新薬情報〈8〉
ヤーボイⓇ点滴静注液50mg
森田陽介
1
,
塚本仁
1
1福井大学医学部附属病院薬剤部
pp.2160-2162
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201609166
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
◆ 製剤の特徴 「ヤーボイⓇ 点滴静注液50mg(イピリムマブ〔遺伝子組換え〕)」は,細胞障害性Tリンパ球抗原-4(CTLA-4)に対するヒト型モノクローナル抗体製剤である1)。本剤は,T細胞の活性化を抑制する調節因子であるCTLA-4の働きを阻害することにより,腫瘍抗原特異的なT細胞の増殖,活性化および細胞障害活性の増強により腫瘍増殖を抑制する。また,制御性T細胞(Treg)の機能低下および腫瘍組織におけるTreg数の減少により,腫瘍免疫反応を亢進させ抗腫瘍効果を示すと考えられている。これまで,進行した悪性黒色腫に対してはダカルバジンを標準治療としたがん化学療法が行われてきたが,長期完全奏効率は2%以下と低く,十分な治療効果が得られていなかった2)。本剤は,切除不能または転移性悪性黒色腫患者を対象とした海外第III相試験において全生存期間の延長が認められており,今後の治療の中心となることが期待されている。