第 I 部 新薬創出を取り巻く環境変化
4.薬価制度改革と国民皆保険の維持
西村周三
1
1医療経済研究機構・所長
pp.436-439
発行日 2018年2月28日
Published Date 2018/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/1201813436
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今後の国民医療費の伸びの可能性は,マクロ経済の動向,国家財政の動向に大きく左右される。近年,マクロ経済は比較的順調に推移しているが,相変わらず国家財政の赤字の膨張はとどまらない。これは将来の大きなリスク要因となっている。医療費抑制策は,特に近年の高額薬剤の出現に対応して,薬剤を標的にしている。これに対する考え方として,Value Based Pricing という考え方が注目を浴びている。新薬,既存薬の両方に対して,これまでの薬剤に対する価値観を見直して,真に価値のあるものを見出し,他方で「多剤投与」といった問題に対する対処についても,有効な手法が求められている。