特集 国民健康保険と保健婦
国民健康保険の沿革と国民皆保険計画
四ツ橋 実
1
1全国国民健康保険団体中央会
pp.46-47
発行日 1958年12月10日
Published Date 1958/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201779
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国民健康保険は,昭和13年7月1日から実施せられ本年で丁度20年を迎えたのである,国民健康保険の芽生えたきつかけとなつたものの1つとして,昭和5〜6年東北一帯に一大凶作があり,さらには世界的不況,中でも,米価,生糸等農産物価格の下落に相俟つて,深刻な農業恐慌問題を惹起して世人の視聴をあつめ,殊に農山漁村における疾病乃至医療の問題が,貧困との循環的関係において認識され,この解決について国家的施策の必要が痛感されるに至つた,さらに農業恐慌からくる国民の思想は極めて不安定であつた,時の内務省社会局丹羽長官は国民思想対策として農村民の疾病からくる医療費負担の解決が優先しなければ思想対策の解決は出来ないとの信念から医療組合の創設に着手したのが国民健康保険の生い立ちであろうと思われる.
昭和8年から,内務省社会局保険部において,疾病保険方式の農山漁村に対する適用につき研究を重ね,昭和13年の第73回帝国議会に国民健康保険法案が提出され同年3月20日に成立をみたのである.
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