特集 公衆衛生の危機
医療崩壊を阻止せよ―国民皆保険制度と医療の未来
今村 聡
1
1日本医師会
pp.26-29
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102633
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はじめに
日本が公的国民皆保険制度を達成して50年が経過した.この50年間に,わが国はWHOの評価やOECD(経済協力開発機構)ヘルスデータにおいて,世界トップクラスに評価されるアウトカムを達成している(表).こうした保健医療分野での日本の功績を称え,『LANCET』誌が2011年9月,先進国単独では初めて,日本特集号を刊行した.短期間で長寿社会を実現した要因,皆保険制度の長所と限界,高品質低コスト医療の実態,急速な高齢化に対応する介護保険制度導入による成果と課題,保健外交における日本の優位性と役割が論じられている.
海外からも極めて優れた制度と認識されている日本の医療制度も,経済の低迷に伴う財源不足,高齢化,医療の高度化等,多種多様な要因により,制度疲労を生じている.今こそ将来に向かって,医療の再構築を図っていかなければならない.
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