特集 保健所管理
国民皆保険と公衆衛生
黒木 利克
1
1厚生省大臣官房企画室
pp.30
発行日 1959年1月15日
Published Date 1959/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202070
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今回の保健所管理セミナーの最終日の午前,黒木企画室長により「国民皆保険と公衆衛生」を主題とする特別講義があり,その内容について本誌に御執筆頂く予定であつたが,非常にお忙しいため甚だ残念乍ら本号に間に合わなかつた。何れ改めてこの問題について御執筆願うことになつているので御期待頂きたいと思う。
この特別講義の中で黒木氏は,まずわが国における公衆衛生及び医療制度の変遷,諸外国とくにイギリスにおける医療保障制度の発展について述べ,医療保障の概念,医療の本質等の問題にふれた後,わが国における医療のあり方の反省として,①保障すべき医療の内容,②医療水準と国民所得水準とのバランス,③診療圏問題,④医療機関の機能の分化,⑤家庭医の重要性,⑥病院と診療所の役割,⑦医療機関の公衆衛生活動における役割,等の諸問題について述べ,公衆衛生の強化が医療保障の大前提であり,この点イギリスの場合は公衆衛生から医療保障への道をとつたのに対し,わが国では社会保険から医療保障へ入ろうとしている点に問題があることを指摘した後,公衆衛生活動のセンターとしての保健所の問題点として次の諸点をあげた。
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