2頁の知識
国民皆保険のはなし
山本 正淑
pp.216-217
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910340
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“国民にあまねく医療を”ということは社会保障を口にするとき,まつさきに出てくる考えです。そして病気や負傷のとき近代医学の達し得た一般的なレベルで必要にして充分な治療が無料又は低額な費用で誰でも自由にうけられるということがその具体的な内容です。これを実現するには二つの方法があります。その一つはイギリス式の国民保健事業(ナシヨナル・ヘルスサービス)で云わば国家が直接国民に医療サービスをする形でその費用の大部分は一般の税収入でまかなうやり方です。他の一つは従来の健康保険制度を発展させて被保険者となる国民が保険料の形で掛金をしてこの保険料収入と国家の補助金等を財源として保険給付として医療給付を行うやり方です。わが国では従来被用者を対象とした健康保険制度と一般自営業者を対象とした国民健康保険制度を大きな2本の柱として疾病保険制度を充実してきたので此の際従来の制度を更に発展さすことによつて特に国民健康保険事業をのばすことによつて医療の国民皆保険を実現することになりました。
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