第 I 部 新薬創出を取り巻く環境変化
3.医療における効率性と公平性~医薬品産業の持続可能性も視野に~
下妻晃二郎
1
1立命館大学生命科学部生命医科学科・教授
pp.429-435
発行日 2018年2月28日
Published Date 2018/2/28
DOI https://doi.org/10.20837/1201813429
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厚生労働省では2016 年4月から,一部の医薬品や医療材料の償還価格調整について,費用対効果評価を応用する試みが始まった。欧州を中心とする先進国では,既に1990年代から,有効性と安全性だけでなく,医療経済評価を含めた多角的な視点による医療技術評価(HTA)の政策応用が行われてきている。わが国において,このような新たな制度を導入するそもそもの目的,すなわち,効率的かつ公平な医療資源配分方法の確立を実現するためには,どのようなプロセスや考慮が必要かについて,わが国での試行の現状と課題を通じて概説する。さらに,医薬品産業界の持続可能性も視野に入れた理想的な仕組みの構築に向けて,イノベーションの考え方の整理や,それに対する公的支援の方法についての提案を,海外の例を参照しつつ紹介する。