特集 遺伝子治療における技術革新の現状と課題
1.遺伝子治療の進歩と展望
金田安史
1
1大阪大学大学院医学系研究科遺伝子治療学・教授
pp.53-58
発行日 2018年1月1日
Published Date 2018/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201801053
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
遺伝子治療の臨床応用が 1989年より始まって以来,初期の混乱期や低迷期を経て,2011年頃より着実にその成果が実り始めている。継続して開発されてきた革新的な治療技術が,その原動力となっている。欧米では既に遺伝子治療製品が市場に出され,今後も相次いで承認される状況である。わが国でも,遺伝子治療の治験が実施されており,いくつかの遺伝子治療製品については近い将来薬事承認がなされると予想されている。さらにゲノム編集技術の開発とその応用により,遺伝子治療の可能性が拡大している。遺伝子治療の歴史を考えれば,今,治療法のない難病であっても,将来遺伝子治療によって治療が可能になることが十分期待できる時代になった。