特集 網膜硝子体診療update
Ⅳ.注目の疾患
4.網膜色素変性
遺伝子治療の展望
村上 祐介
1
,
宮崎 勝徳
1
,
池田 康博
1
1九州大学大学院医学研究院眼科学分野
pp.318-324
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102511
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はじめに
網膜色素変性(retinitis pigmentosa:RP)は,進行性の夜盲,視野障害,視力低下を主な症状とする疾患群で,その罹病率は約5,000に1人と頻度が高く,わが国で失明原因の上位を占める重篤な疾患である。これまでにさまざまな治療法が試みられているものの,未だに有効な治療薬は確立されていない。分子生物学の発展により,網膜色素変性の原因として多くの遺伝子異常が明らかとなったことで,その技術を分子病態の解明や遺伝子診断にとどまらず,治療にまで応用しようと考えるのは自然な発想といえよう。本項では,網膜色素変性に対する新しい治療法としての遺伝子治療にどのようなことが期待できるのか,その展望について述べたい。
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