特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター
1.遺伝子検査の展開
遺伝子検査の現状と展望
宮地 勇人
1
Hayato MIYACHI
1
1東海大学医学部基盤診療学系臨床検査学
キーワード:
遺伝子検査
,
個別化医療
,
ゲノミクス
Keyword:
遺伝子検査
,
個別化医療
,
ゲノミクス
pp.1275-1283
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101409
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はじめに
分子生物学的解析(遺伝子分析)技術の進歩は,疾患の診断に必要な病因遺伝子を検出する遺伝子検査を可能とし,感染症や白血病を中心に日常検査として定着した.近年,遺伝子検査は,感染症や悪性腫瘍を中心に,迅速な確定診断だけでなく,治療適応決定,治療モニタリングなど患者管理に広く利用されている1,2).単一遺伝子病では,発症前診断や保因者スクリーニングなどに用いられる.さらに,ヒトゲノムを構成する30億塩基対の配列が2004年に完全解読され,ゲノムシークエンス情報の生物学的研究(ゲノミクス)により,薬物反応性や疾患罹患性の個体差に影響する遺伝子多様性が解明されつつある(図1).その指標となる遺伝子多型パターンを明らかにする多国間の国際協力計画(国際HapMapプロジェクト)も進められている.今日,その成果を用いた「ゲノム医療/個別化医療」の時代を迎えようとしている.このように遺伝子検査の対象とする情報は急速に増大している.一方,適正な利用と普及において様々な課題がある.本稿では,遺伝子検査の現状と展望を概説する.
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