連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈65〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 肺炎,急性心筋梗塞,ノセボ効果,カテキン,CYP2C19,OCT
Keyword:
● 肺炎,急性心筋梗塞,ノセボ効果,カテキン,CYP2C19,OCT
pp.2140-2146
発行日 2017年9月1日
Published Date 2017/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201709158
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.台湾の医療情報データベースを用いた研究において,プロトンポンプ阻害薬(PPIs)が投与された認知症患者では,投与されなかった認知症患者よりも肺炎の発症リスクが高かったことが報告されている。 2.非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と急性心筋梗塞との関連を調査した複数の試験のメタ解析において,従来のNSAIDsも選択的シクロオキシゲナーゼ2阻害薬と同様に急性心筋梗塞のリスクを上昇させることが示唆されている。 3.スタチンによる心血管系イベント抑制効果を評価した臨床試験データの解析において,二重盲検期には実薬群とプラセボ群で筋肉関連有害事象の発現率は同程度だったものの,非盲検期には実薬群で有意に多く,ノセボ効果の存在が示唆されている。 4.健康成人を対象とした試験において,緑茶カテキンの主要成分であるエピガロカテキン-3-ガレートの併用により,ロスバスタチンの血漿中濃度がわずかに低下したことが報告されている。
5.健康成人を対象とした試験において,クロピドグレルの併用により,オメプラゾールの血漿中濃度がわずかに上昇したことが報告され,チトクロムP450(CYP)2C19を介した相互作用が示唆されている。
6.健康成人を対象とした試験において,ダクラタスビルの併用により,メトホルミンの血漿中濃度は影響を受けず,薬理作用にも影響が認められなかったことが報告されている。