第III部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
脂質異常症治療薬
塚本和久
1
1福島県立医科大学 会津医療センター 糖尿病・代謝・腎臓内科学講座・教授
pp.409-416
発行日 2016年1月31日
Published Date 2016/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201613409
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脂質異常症治療薬としては初めての生物学的製剤(完全ヒト型モノクローナル抗体)である2種類のPCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)阻害薬が,欧米で2015年に承認され,日本でも2015年に承認申請が行われた。いずれの薬剤もスタチン投与下で,さらにLDL-C(低比重リポ蛋白コレステロール)を70%程度低下させる非常に強力な効果を有する薬剤であり,ヘテロ接合体家族性高コレステロール血症などで難治性高LDL-C血症を呈する患者への,動脈硬化抑制を含めた臨床効果が期待される。その他の新規薬剤としては,選択的PPARα(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体α)修飾薬K-877の臨床試験結果の発表が待たれるとともに,現在継続中のCETP(コレステリルエステル転送蛋白)阻害薬の臨床試験結果にも関心が持たれる。従来からの薬剤の中で2015年に動きのあったものとしては,ピタバスタチンの10歳以上の小児への投与が承認されたこと,エゼチミブのスタチンとの併用でのイベント抑制効果が発表されたことがあげられる。