第III部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
脂質異常症治療薬
及川眞一
1
1複十字病院糖尿病,生活習慣病センター長
pp.410-415
発行日 2017年1月31日
Published Date 2017/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201713410
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高コレステロール血症に対する治療は,スタチンの登場によって完成したように思われる。しかし,症例によっては治療効果が不十分であり,プラズマアフェレーシス実施例の負担軽減,より積極的な治療法が望まれる例,あるいはLDL(低比重リポ蛋白)コレステロールのより大きな低下を目標とすべき例が存在する。このような例に対する積極的な治療として,抗PCSK9(プロ蛋白転換酵素サブチリシン/ ケキシン9 型)抗体の利用が期待される。この抗体の作用機序と,これを基にした新たな開発の動きに触れる。また,PPARα(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体α)の賦活剤は,高TG(トリグリセリド)血症に対する治療薬として認められているが,PPARαに対する選択制の高い化合物が発見され,臨床応用が期待されている。2017 年の新薬として両系統の薬剤が展開されるものと思われる。