第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
脂質異常症治療薬
三井田孝
1
1順天堂大学大学院医学研究科臨床病態検査医学講座・教授
pp.474-479
発行日 2015年1月31日
Published Date 2015/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201513474
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
2014年は,新規に発売された脂質異常症治療薬はなかった。現在国内では,PCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)阻害薬,選択的PPAR(peroxisome proliferator-activated receptor)修飾薬(SPPARM),CETP(cholesteryl ester transfer protein)阻害薬の第III相臨床試験が進行中である。PCSK9阻害薬は,脂質代謝領域では最初の完全ヒト型モノクローナル抗体製剤であるevolocumab(エボロクマブ)の開発が先行している。スタチン内服患者にエボロクマブを上乗せすると,低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C)はさらに低下する。SPPARM のK-877は,高トリグリセライド(TG)血症に対して,従来のフィブラートよりも強いTG低下作用と高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)上昇作用を示すうえ,副作用が少ない。CETP阻害薬はanacetrapib(アナセトラピブ)とevacetrapib(エバセトラピブ)が治験中で,いずれも強いHDL-C上昇作用を示す。これらが早期に使用できることを期待する。