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高LDLコレステロール(LDL-C)血症は冠動脈疾患の発症を増加させ、特に遺伝性の家族性高コレステロール血症(FH)では著明な高LDL-C血症と早発性冠動脈疾患(CAD)を発症するために、早期発見・治療が重要となる。動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版では冠動脈疾患・アテローム血栓性脳梗塞の一次予防・二次予防のための脂質管理目標値が設定された。高LDL-C血症にはスタチン、小腸コレステロールトランスポーター阻害薬等が使用されるが、LDL-C管理目標値の達成率は不十分である。インクリシラン(INC)は肝臓のproprotein convertase subtilisin/kexin type 9(PCSK9)産生を減らしてLDL受容体分解を防ぎ、肝臓へのLDL取り込み亢進によってLDL-Cを低下させるfirst in classのsiRNA製剤である。海外試験では初回皮下投与、3カ月後、以降は6カ月ごとの投与でINCは持続的なLDL-C低下効果を示し、わが国では心血管イベントリスクが高いLDL-C高値の患者を対象に、INCを1年間投与し、有効性、安全性、忍容性を評価した(ORION-15試験)。312人の成人患者をINC 300mg、200mg、100mgまたはプラセボ群に分け、Day1、90、270に皮下投与した。主要評価項目はDay180のLDL-Cの治療前値からの変化率とした。INCはプラセボに比し用量依存性にLDL-Cを低下させ、300mg投与後Day180でLDL-Cは65.3%低下した。INCは半年に1回の投与で持続的にLDL-Cを低下させ、安全性も問題なく、現在心血管イベント抑制効果の検証試験が実施中である。「KEY WORDS」高LDLコレステロール血症,siRNA治療薬,インクリシラン,家族性高コレステロール血症,動脈硬化性疾患,siRNA,粥状動脈硬化
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