第III部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
血液腫瘍治療薬
細野奈穂子
1
,
山内高弘
2
1福井大学医学部附属病院がん診療推進センター・助教
2福井大学医学部附属病院血液・腫瘍内科・教授
pp.350-358
発行日 2016年1月31日
Published Date 2016/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201613350
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エピジェネティック標的薬として,2015年に本邦でヒストン脱アセチル化酵素(histone deacetylase:HDAC)阻害薬であるパノビノスタットが,多発性骨髄腫に対する3rd line以降の治療薬として承認された。本邦で使用可能なエピジェネティック標的薬としては,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes:MDS)に対するアザシチジン,皮膚T細胞リンパ腫に対するボリノスタットに次ぐものであり,多発性骨髄腫においては最初のHDAC阻害薬である。また,第二世代のプロテアソーム阻害薬カルフィルゾミブも登場し,難治性/治療抵抗性の多発性骨髄腫に対して既存の標準治療に比し,無増悪生存期間の有意な延長が見られている。さらに,長らく有望な新薬の出現が見られなかった急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)においても,第二世代のDNAメチル化阻害薬が登場し,第II相臨床試験にて良好な結果を示し,現在第III相臨床試験が実施中である。これら新規のエピジェネティック標的薬は,造血器悪性腫瘍の治療成績の向上に貢献することが期待される有望な薬剤である。