特集 薬剤誘発性認知症
4.向精神薬(睡眠薬・抗不安薬,抗うつ薬,抗精神病薬)によって誘発される認知症・認知障害
北村立
1
,
森京子
2
1石川県立高松病院 院長
2石川県立高松病院 薬剤科
pp.2481-2486
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201611083
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2013年に米国精神医学会より発表されたDSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition)では,認知症や物質関連障害についての記述に大きな変更があった。本稿では,まずDSM-5における認知症,軽度認知障害,物質使用障害の概念を示し,「物質・医薬品誘発性認知症・軽度認知障害」,「鎮静薬,睡眠薬,または抗不安薬中毒」の診断基準を示した。次いで睡眠薬・抗不安薬,中でもベンゾジアゼピン系薬物と認知症・認知障害の関連について,文献的に考察した。両者の直接的な因果関係を証明することはできないが,高齢者にベンゾジアゼピン系薬物を使用する場合は特段の注意を要する。最後に抗うつ薬と抗精神病薬の抗コリン作用による認知障害について触れ,抗コリン作用を有する抗うつ薬,抗精神病薬を紹介した。