特集 薬剤誘発性認知症
3.高齢者における薬剤誘発性認知症・認知障害への対応~エビデンスと今後の課題~
小島太郎
1
1東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座
pp.2475-2478
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201611077
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高齢患者の内服する薬剤には,認知機能低下をきたす可能性の高いものが含まれており,気がつかないうちに認知症を発症するケースもある。向精神薬や抗コリン活性の強い薬剤などはその代表的なものであるが,生活習慣病治療薬などの認知症予防につながり安全と思われる薬剤でも発症することがある。薬剤性認知症に対する薬剤中止による改善効果についての十分なエビデンスはないが,認知症が疑われて精査を行う際には,薬剤性認知症にも十分に配慮して治療を行う必要があり,potentially inappropriate medicationと称される薬剤の使用を控えるように努めることも,その発症予防にあたっては必要なことと考えられる。