特集 インフルエンザの予防・感染対策・治療の最前線
7.インフルエンザと急性脳症
河島尚志
1
,
森地振一郎
1
,
山中岳
2
1東京医科大学小児科学分野 主任教授
2東京医科大学小児科学分野 講師
pp.2291-2297
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201610095
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インフルエンザ脳症は,98/99年以降に多数の発症者を認めるようになった比較的新しい疾患概念である。インフルエンザ脳症に代表される急性脳症は,① 代謝異常が関与するもの,② 興奮毒性によるもの,③ 高サイトカインが関与するもの,と病態ごとに分けて考えられるようになってきている。治療の主体は,全身状態を保つ支持療法と高サイトカイン状態を沈静化させることを目標にする特異的治療が行われている。これらの治療にも関わらず病状が悪化する場合に,脳低体温療法,血漿交換療法,ラジカルスカベンジャー,シクロスポリン療法,ATIII(アンチトロンビンIII)療法などが試されている。その他に新規の治療として,トロンボモジュリン製剤,ホスフェニトイン,VitB1,B6,L-カルニチンや抗HMGB1抗体などが一定の効果を上げてきている。