Japanese
English
総説
急性インフルエンザ脳炎・脳症
Acute Encephalitis and Encephalopathy Associated with Influenza Virus
新庄 正宜
1
,
根路銘 国昭
1
Masayoshi Shinjoh
1
,
Kuniaki Nerome
1
1国立感染症研究所ウイルス第一部呼吸器系ウイルス室
1Department of Virology I, National Insitute of Infectious Diseases
キーワード:
influenza
,
encephalopathy
,
neurovirulence
,
amantadine
,
vaccine
Keyword:
influenza
,
encephalopathy
,
neurovirulence
,
amantadine
,
vaccine
pp.851-860
発行日 1999年10月1日
Published Date 1999/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901497
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I.背景
原則として,インフルエンザは毎年冬季を中心に流行し,合併症として肺炎,脳炎・脳症,心筋炎,心膜炎,筋炎などが知られている。最近わが国で,高齢者や慢性疾患患者で重症肺炎を併発し死に至るケースが数多く報告され社会的問題となっている。一方,小児科領域では,インフルエンザ罹患後数日のうちに神経症状が出現して意識障害に陥る脳炎・脳症などの急性神経合併症が注目されてきている。これらは幼児に多く,死亡するとともに,後遺症に陥るケースが多い。実際,日本で毎年推定100人以上の小児がインフルエンザ脳症で死亡し,ほぼ同数の小児が重症の後遺症で悩まされているという37)。
わが国の1987年から1998年までの,脳炎・脳症患者からのインフルエンザウイルスの分離状況(図1c)15)によると,最近脳炎・脳症患者からのインフルエンザウイルスの分離率が高くなってきていることがわかる。また,興味深いことに,諸外国では日本で見られるようなインフルエンザ脳炎・脳症の流行は少ないが,これが真に少ない病態を反映しているのか,あるいはそのサーベイランスシステムに問題があるのかは今のところ明らかではない。
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