連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(52)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 顎口腔ジストニア,コリンエステラーゼ阻害薬,CYP3A4,P-糖タンパク質,筋毒性,痙攣
Keyword:
● 顎口腔ジストニア,コリンエステラーゼ阻害薬,CYP3A4,P-糖タンパク質,筋毒性,痙攣
pp.1944-1949
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201608152
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.直腸癌の術前補助化学療法としてカペシタビンを投与された患者において,舌のしびれ,嚥下困難,会話困難,気道閉塞などの症状が現れ,顎口腔ジストニアを呈した症例が報告されている。 2.薬物有害反応自発報告データベースを用いた調査において,コリンエステラーゼ阻害薬による有害反応としては精神神経系が最も多く,胃腸障害,全身性,心血管系と続くことが報告されている。 3.健康成人を対象とした試験において,ジルチアゼムの併用によりアピキサバンのAUC(血中濃度-時間曲線下面積)が約1.4倍に上昇し,CYP(チトクロムP450)3A4やP-糖タンパク質の阻害を介した相互作用が示唆されている。 4.フランスの一施設における調査において,リファンピシン併用患者のクリンダマイシンのトラフ濃度は,非併用患者よりも低かったことが報告されている。 5.高血圧症のためテルミサルタンを投与された患者において,筋肉痛や血清クレアチンキナーゼ値上昇などの筋毒性が現れ,オルメサルタンへの変更で改善した症例が報告されている。 6.肺結核症のためイソニアジドを含む抗結核薬による間欠療法が行われた喫煙歴,飲酒歴のある患者において,意識消失を伴う痙攣発作を呈した症例が報告されている。