連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(78)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 衝動制御障害,体重増加,乳がん,流産,過量使用,BCRP
Keyword:
● 衝動制御障害,体重増加,乳がん,流産,過量使用,BCRP
pp.2294-2299
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018102294
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
〔今月の注目論文のポイント〕 1.フランスでパーキンソン病患者を対象に行われたコホート研究において,ドパミン作動薬使用群における衝動制御障害の発症率は51.5%であり,用量依存的な関係が認められたことが報告されている。 2.ブレクスピプラゾールおよびアリピプラゾールの臨床試験データの事後解析において,両剤の体重への影響は同程度であったことが報告されている。 3.デンマークの医療情報データベースを用いたケースコントロール研究において,抗精神病薬の長期使用により乳がんリスクのわずかな上昇が認められ,特にエストロゲン受容体陽性の乳癌のリスク上昇が認められたことが報告されている。 4.米国の医療情報データベースを用いたコホート研究において,妊娠初期,特に受胎前後のNSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)使用による流産リスクの上昇が認められたことが報告されている。 5.米国で行われたウェブアンケートにおいて,イブプロフェン服用者の11%が最大1日量を超えて服用しており,医薬品適正使用に関して誤った認識を持っている場合や,正しい医薬品情報の知識を持っていない場合に多かったことが報告されている。 6.健康成人を対象とした試験において,経口投与したエルトロンボパグ(BCRP〔breast cancer resistance protein〕阻害)は静脈内投与したセフトリアキソン(BCRP基質)の薬物動態に影響を及ぼさなかったことが報告されている。