連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く (41)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 教授
キーワード:
● コンプライアンス, CYP1A2,白内障,鎮痛効果減弱,セルフメディケーション
Keyword:
● コンプライアンス, CYP1A2,白内障,鎮痛効果減弱,セルフメディケーション
pp.160-165
発行日 2015年8月1日
Published Date 2015/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201508160
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.カペシタビンを投与された直腸癌術後患者において,医療者による助言や指導を無視した過剰なコンプライアンスにより,手足症候群が悪化した症例が報告されている。 2.健康成人を対象とした試験において,ホスアンプレナビル/リトナビルの併用によりオランザピンの血漿中濃度が低下し,CYP(チトクロムP450)1A2の誘導による相互作用の可能性が示唆されている。 3.フルボキサミンを服用していた若年患者において,眼内レンズ移植を要する白内障を呈した症例が報告されている。 4.無作為化比較試験のメタアナリシスにおいて,オンダンセトロン併用でトラマドールの累積投与量が増加したことから,トラマドールの鎮痛効果を減弱させる可能性が示唆されている。 5.ドイツでの観察研究において,薬物有害反応による入院のうち約4%がセルフメディケーション(一般用医薬品および過去処方薬の自己判断使用)によるものであったことが報告されている。 6.カペシタビンとワルファリンが投与された肝移植後患者において肝機能悪化を認めた症例が報告され,両薬の相互作用による肝障害の可能性が指摘されている。