連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈75〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 大動脈瘤,炎症性腸疾患,緑内障,UGT,閉経後ホルモン補充療法,先天性奇形
Keyword:
● 大動脈瘤,炎症性腸疾患,緑内障,UGT,閉経後ホルモン補充療法,先天性奇形
pp.1702-1708
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018071702
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.スウェーデンの医療情報データベースを用いたコホート研究において,アモキシシリンと比較してフルオロキノロン系抗菌薬では大動脈瘤の発症リスクが1.90倍であったことが報告されている。 2.英国の医療情報データベースを用いたコホート研究において,他の糖尿病用薬と比較してDPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ-4)阻害薬では炎症性腸疾患の発症リスクが1.75倍であったことが報告されている。 3.米国の医療情報データベースを用いた症例対照研究において,カルシウム拮抗薬と原発性開放隅角緑内障に関してカルシウム拮抗薬ではリスク上昇,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRIs)ではリスク低下との関連が認められている。 4.健康成人を対象とした試験において,ラモトリギンとバルプロ酸を併用した状態からバルプロ酸を中止すると,ラモトリギンの血清中濃度は約2週間かけて約半分まで低下したことが報告されている。 5.フィンランドの医療情報データベースを用いたコホート研究において,60歳未満で閉経後ホルモン補充療法を中止した場合,中止後1年以内の心臓発作または脳卒中による死亡リスクの上昇を認めたことが報告されている。 6.韓国の医療情報データベースを用いたコホート研究において,妊娠第一三半期のチアマゾールの使用と,神経系,循環器系,消化器系の先天性奇形のリスク上昇との関連を認めたことが報告されている。