連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く (37)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座
2東京大学大学院薬学系研究科医薬品情報学講座 教授
キーワード:
● 膵炎,ビリルビン値低下,CYP,低カリウム血症,脳症
Keyword:
● 膵炎,ビリルビン値低下,CYP,低カリウム血症,脳症
pp.1188-1193
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201504154
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.2型糖尿病患者へのジペプチジルペプチダーゼ-4阻害薬の投与により,膵炎リスクの上昇は認められなかったとする無作為化比較試験のメタアナリシスが報告されている。 2.健康成人でのエファビレンツの薬物動態試験における臨床検査値を解析した結果,エファビレンツ投与前と比べ,投与後のビリルビン値が低下したことが報告されている。 3.骨髄移植後にシクロスポリン服用中の小児患者において,シクロスポリンの濃度/投与量比がイマチニブ投与開始により上昇し,シクロスポリンの減量が必要であったことが報告されている。 4.セルトラリンが投与された大うつ病患者において,投与開始3週後の冠動脈造影検査後に突然の心停止を起こし,重度の低カリウム血症を認めた症例が報告されている。 5.治療薬物モニタリングの測定データの後ろ向き解析において,他の抗てんかん薬,特にフェニトインを併用した患者では,クロバザムの濃度/投与量比が低かったことが報告されている。 6.メトロニダゾールが投与された慢性下痢の患者において,投与開始9カ月後に歩行困難,めまい,言語障害などが発現し,脳症を呈した症例が報告されている。