連載 医薬品情報(DI)室より 注目の新薬情報〈7〉
アコアランⓇ 静注用600
塚本仁
1
1福井大学医学部附属病院薬剤部
pp.1952-1954
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201608160
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◆ 製剤の特徴 「アコアラン®注用600(アンチトロンビン ガンマ〔遺伝子組換え〕静注用)」は,組換えDNA技術および糖鎖制御技術を用いて作成された遺伝子組換えアンチトロンビン(AT)製剤であり,ヒト天然由来型(ヒト血漿由来)ATと同一のアミノ酸配列かつ同じタイプの糖鎖構造を持つ。ATは,トロンビンのほか,血液凝固第X因子,第XII因子,第IX因子などの血液凝固に関与するタンパク分解酵素と複合体を形成することで,凝固阻害作用を示す。これまでAT製剤としては,ヒト血漿由来製剤(ノイアート®静注用,アンスロビン®P注射用,献血ノンスロン®注射用)が臨床使用されてきた。これらの製剤はAT補充の有効性は高いものの,ヒト血液由来の病原体による感染症のリスクを完全に排除できないという問題があった。本剤は遺伝子組換え製剤であるため,それら感染症のリスクを回避することが期待できる。適応症は,① 先天性アンチトロンビン欠乏(CAD)に基づく血栓形成傾向,② アンチトロンビン低下を伴う播種性血管内凝固症候群(DIC),であり,1日1回,必要量を緩徐に静注または点滴静注する。