連載 患者のQOL向上と薬剤師の関わりPART II .服薬指導と病棟活動(104)
耳鼻科病棟における病棟薬剤業務の取り組みと評価
小林亮
1
,
鈴木昭夫
2
,
伊藤善規
3
1岐阜大学医学部附属病院 主任薬剤師
2岐阜大学医学部附属病院 副薬剤部長
3岐阜大学医学部附属病院 教授・薬剤部長
pp.1133-1139
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201604153
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2012年度診療報酬改定で「病棟薬剤業務実施加算」が新設されたが,その取り組み内容や成果について,一定の見解は得られていない。岐阜大学病院では耳鼻科病棟をモデル病棟として,特に有害事象モニタリングおよびその対策に注力して業務を行っている。病棟における有害事象の発現状況と経過,処方提案内容や提案後の経過等について記録・解析したところ,3割以上の患者にGrade 2(中等度)以上の有害事象が発現しており,有害事象の重症度(Grade)に依存して入院期間は延長していた。処方提案等により発現した有害事象の多くは改善しており,改善した群では入院期間が有意に短縮していた。これらより,薬剤師が病棟で処方提案等を行うことは,有害事象の回避や軽減に寄与し,患者のQOL(quality of life)改善や入院期間短縮に貢献できることが示唆された。